rainfiction

アマチュア映画監督 雨傘裕介の世に出ない日々です。

オマエら皆殺しだから−「デストロ246」−

高橋慶太郎デストロ246」第1巻を購入&読了。

面白い!

あらすじは以下のとおり。Wikipediaより。

実業家の透野隆一は、家族を毒殺されて、復讐のために生きるようになり、南米の麻薬組織から少女の殺し屋を2人購入した。透野は2人に「翠」「藍」と名付け、日本に連れ帰る。来日した翠と藍は隆一の意を受けて、暴力団を次々と襲い嬲り殺しにしていく。その過程で2人は、政府機関の殺し屋である少女「伊万里」と、毒を使う女子高生の暴力団組長「苺」、その同級生兼護衛である「蓮華」「南天」と出会い、アサシンキラー(殺し屋殺し)として抗争に身をやつす。 物語は東京で発生した殺し屋達の闘いの経緯を美濃芳野がレポートする形ではじまる。

作者コメントには「女の子しか書きたくありません」という叫びから今作が発生したとある。
そのとおり、主要キャラはすべて女性、しかも未成年と思しき女子高生たちである。

続きを読む

猫になりたい

昔、実家にいたころ、猫を飼っていた。


小学3年のときに、家の裏の駐車場で遊んでいると、小さな鳴き声が聞こえてきた。家の縁の下で小さな三毛猫がうずくまっている。僕が少年期特有の向こう見ずさと好奇心で、何も考えずに抱き上げると、低いのか高いのか、唸るようにか細い声で鳴いた。兄と友達に囲まれて、僕の腕の中で鳴いたその声、体温を僕はよく覚えている。

続きを読む

甦れ!「あの感じ」!!−「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」−

宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」を鑑賞。



Twitterのタイムラインでも鑑賞したという人を見かけなかった本作。
公開から2週間が経とうとしていたので、この機会を逃すと劇場でギャバンを観ることなど一生叶わないのではないか…という不安に駆られ、最寄りのシネコンへ駆け込んだ。


久しぶりに映画をハシゴしており、直前には「アルゴ」を鑑賞している。
冒頭から「アルゴ」との作品レベルの落差にクラクラしてしまったが、TVシリーズ(1982年)ド直球世代には、まあまあ楽しめたのであった(放映当時は4歳)。


もちろん、期待を裏切らず、映画として欠点・欠陥はありまくりである。

しかしそれを訳知り顔で批判することは憚られる。
この時代にギャバンを、メタルヒーローを復活させたことが偉業!であり、「ギャバンなら多目に見るぜ!」という我々世代の想い、そして態度を見切った上で、制作陣はあえてこのクオリティレベルを選択したようにも思える。

続きを読む

わが青春の牙突−「るろうに剣心」−


るろうに剣心」を鑑賞したでござるよ。


※悪・即・斬!No More 映画泥棒!!


鑑賞から一週間が経ったが、興行収入も好調で、世界での公開も予定されているようだ。大ヒット御礼!ワーナー御礼!!


そんなムードになるなんて予想していなかったんですが、予告を見る限り「これは(意外と)面白そう!」と感じたので、観に行った次第であります。


「なぜ今、るろうに剣心を実写化!?」


映画化のニュースが流れた時、ほとんどの人はそう思ったであろう。


企画段階のノリを予想してみる。


今だに人気の高いジャパンコミックを世界に向けて発信する時!
ダークナイト」や「X-MEN」みたいな大人向けアメコミ映画も評判いいし、「ボーンシリーズ」に代表されるアクション描写の洗練が本格チャンバラアクションを可能にする!
ハードな演出で定評のある大友啓史を監督に起用し、龍馬伝で好評を博した時代描写をベースにリアル路線追求!大人も子供も楽しめる娯楽作品!イケる!


その狙いは外れていない。

続きを読む

桐島、生きとったんかワレ!−「桐島、部活やめるってよ」−

桐島、部活やめるってよ」を鑑賞。


※「Another」のスチルではありません。



結論から言うと「未熟だった世界が終わり、新たに世界が広がるモノ」の大傑作だ。
そして僕は「未熟だった世界が終わり、新たに世界が広がるモノ」が大好物だ。


当ジャンルのフォーマットは極めて単純で、「ある(狭い)価値観、社会観に縛られていた登場人物が、作品内で描かれる経験を通じて、成長し、世界を違った目線で見つめることができるようになる」という、いわゆる普通のドラマの基本構造そのものである。
「違った目線で見つめることができるようになる」といった描写、展開に重きを置いた作品がつまり(略して)「世界広がりモノ」に属するのだが、これは主に、主人公がその役割を担っている。当然である。


彼は作品内で成長し、そして過去となった世界を見つめる。感慨深く眺め、新たな世界へと羽ばたいていく。
そして、必ず、そこには喪失・別離が伴う。伴わなければならない。少なくとも、過去の世界の喪失あるいは過去の世界との別離が含まれる。
主人公不在では成り立たないフォーマットである。観客は主人公に自らを仮託する。主人公を通じて、新たな世界を目にする。
その前のめり感が充分要素なのである。


しかし、今作「桐島、部活やめるってよ」では、その前のめり感が消されている(残っているが、うまく消されている)。
なのに、静かなダイナミズムを有しながら、登場人物の世界の変容っぷりを、劇的に見せつける。
そのバランスが見事なのだ。


だからこそ、僕は本作を「未熟だった世界が終わり、新たに世界が広がるモノ」の大傑作、と評価したい。
しかも本作においては、世界の広がりは残酷な意味を持つのだ。
以下、ネタバレを含みます。

続きを読む

人生に影響を与えた45本の漫画

ドン!

※画像は「ツギハギ漂流作家/西公平」より。
 このコマだけが異様に有名という稀有な作品。


「人生に影響を与えた45曲」という企画をid:katokitizさんの「人生に影響を与えた45曲 - シン・くりごはんが嫌い」というエントリを見て、面白い!と思ったので、ありがちな発想ながら『漫画』にアレンジしてみたよ!


2月9日は手塚治虫先生の命日でもあるので、記念として。


「人生に影響を与えた」という定義を云々してもアレなので、便宜的に以下に定義してみた。


1:僕個人の人生において多大なインパクトを残し、
2:かつ僕個人の思想や思考や行動に影響を与えており、
3:これまでの人生で話題にし、思い出し、何度も読み返し、
4:作品世界にどっぷりと入り込んだことのある作品


好きか嫌いか、でいうと、正直別のラインナップになると思う。

続きを読む

愛ゆえに傑作―『宇宙人ポール』―

今年、初めて劇場で観た映画は『宇宙人ポール』。

前評判が高すぎたため、自然と期待値も高まり、スピルバーグ映画へのオマージュ満載、という意味では、スピルバーグ御大ご自身の『インディ・ジョーンズクリスタル・スカルの王国』、オマージュどころか御大が製作総指揮を務めた『SUPER8』と同じくらいの期待値をマークしたのであった。


それぞれ表層的モチーフが共通しており、スピ公魂は今も昔も『未知との遭遇』というモチーフにおいて受け継がれているのを実感しつつ、今回は純度100%のコメディと聞いて、笑いに行ったようなもんです。


結論。
俺が映画に求めているものはコレである。
つまり俺が観たい映画は『宇宙人ポール』である。

続きを読む