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アマチュア映画監督 雨傘裕介の世に出ない日々です。

Kindleで読んだマンガ~「ケンガンアシュラ」が面白い

書籍や映画やマンガについて書きたいと思って始めたはてなブログですが、いつの間にか「小沢健二」ブログになっておりまして。


たまにはマンガのことでも書きましょう。


「ケンガンアシュラ」というマンガが面白いのです。

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結論から書きましたが、どのくらい面白いかというと、Kindleで読み始めて一気に既刊を購入して請求が来てアワワ、でもことあるごとに読み返しているから元が取れてよかった、っていう程度です。
つまり良作であるということ。



ジャンル的には「グラップラー刃牙」「喧嘩商売」に代表される、様々な流派やキャラクターがトーナメントを繰り広げる格闘マンガなのですが、実は「トーナメント」に特化した格闘マンガ、というのは珍しく、それでいて、各キャラクターの作り込みができているというマンガはさらに珍しいのではないでしょうか。
それが今作の面白さだと思われます。


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※警視庁の阿古谷さん。使う技は「逮捕術」。


適当に画像を貼りましたが、このオッサンの背景にも濃い目の要素があるんですね。

以下あらすじ(Wikipediaより)

企業、商人たちが巨額の利益を賭け、雇った闘技者によって素手による格闘仕合を行い、勝った方が全てを得るという拳願仕合。商人たちの争いを収める手段として、江戸中期に発祥したと言われているそれは現代にまで継承されており、今、己の最強を証明せんとする謎の闘技者、十鬼蛇王馬が拳願仕合の舞台に足を踏み入れようとしていた。その内に野望を秘めたる乃木グループ会長、乃木秀樹がその男と出会ったとき、拳願仕合にて大きな渦が巻き起ころうとしていた。


正直、導入の1~2巻を読んだときはピンと来なかったんですよ。導入が導入以上の意味を持たないというか、主人公キャラの強さの裏付けが「覚醒」であったり、独自の流派だったりして、世界が狭いと感じさせる話運びでした。

ところがどっこい、トーナメントが発表され、そこに集う闘技者たち、闘技者以上に濃い雇用主たる商人たちが次々と出てくる3巻以降は、加速度的に面白さを増していき、Kindleの悪夢(=次巻購入ボタンを止めどなく押すこと)が立ち上がること必至です。


特に、本作の方向性を「変な方向」に定めた第4巻を読んで「ハサドる」の言葉の意味を知った上では、本作が予測不可能な展開を見せるマンガであり、本作を読むことは、メタ読みの裏をかこうとする作者たちと、深読みを繰り返す読者の戦いであることがわかるでしょう。



さらに、負ける闘技者にも、いちいち重めのバックボーンや技が描かれ、「こいつが勝つかも?」と思わせる描写を繰り広げた結果、あえなくボコられる、というのも魅力の一つです。っていうか容赦なさすぎです。負け方にも衝撃と魅力があるのです。


もちろん、コミックスを買って読んでもいいのですが、各キャラクターの書き込み要素が多く、テンポよく消化されていくこと、各試合の見せ場がしっかりしつつも、1試合ごとに闘技者のバックボーンが語られていくことなどを踏まえると、いつでも繰り返し読めるKindle版をオススメします。
読み飛ばしてしまうとややこしいですからね。



私がこのマンガを評すとするならば「展開の早い刃牙」。
もはや20年近く前になってしまった、地下闘技場トーナメントに匹敵する興奮を感じている次第です。私は三十路です。
喧嘩商売」などのリアリティ路線とは異なる格闘描写ですが、見せ方に迫力があり、話の筋が多角的ですので、デフォルメされた格闘描写に抵抗を感じない人には大変オススメです。



2015年4月現在、裏サンデーでの連載では、トーナメント1回戦の16仕合中、15仕合を消化し、あとは最終戦を残すばかりです。
つまり、今後、脳内の展開予想が捗るタイミングと言えるでしょう。
裏サンデーのアプリ、「マンガワン」でも過去回が読めますので、一気読み必至です。課金形式ですが、無料で1日に読める話数が決められているので、じっくり読むのも一興。

manga-one.com


今後、ハサドを超える闘技者は現れるのか?
どんどん影が薄くなる主人公に見せ場は与えられるのか?
そもそもトーナメントは成立するのか?
ていうか世の中にはどれだけ暗殺流派があるのか?
作中最強キャラ、アギトはいったいどういう戦いを見せるのか?


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「滅堂の牙」ことアギトさん。作中では1コマだけしか顔見せしていません。
眉毛がなく、体格はビスケット・オリバのような逆三角形です。
他のマンガにおいては、弱キャラとしか思えない属性しかないのですが、大丈夫でしょうか。


というわけで、「ケンガンアシュラ」は、中学生当時のような、マンガへの熱望を思い出させてくれる作品なのです。エンタテインメントとして消費するにはうってつけの作品です。