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rainfiction

アマチュア映画監督 雨傘裕介の世に出ない日々です。

魔法 is the magic word 〜魔法的によせて〜

どうもこんばんは。民間における小沢健二研究の第一人者、雨傘です。


さて、小沢健二が、2016年初夏に四年ぶりのライブ、6年ぶりのツアー「魔法的」を行うこととなり、先行チケット争奪戦が一通り行われた。

 
ツアータイトルを目にして、これまた何て「小沢的」、と感じたのは僕だけではないだろう。
 

「魔法的」とは言い得て妙である。「魔法」という一単語は、小沢健二の楽曲を聴いてきたものなら、それぞれにそれぞれの感慨を抱かせるマジックワードだ。
 
 小沢健二の作品内文脈における「魔法」の意味合いは、日常に潜む魔法、劇的に降ってくる魔法、秘密をはらんだ魅惑の魔法……などなど、実にカラフルである。自分以外の何かに自分の中の何かを加担して、世界そのものを揺り動かし、変えてしまう事象。それが魔法。マジック。魔力。


魔法的が「magical」「magically」に当たる言葉だとしても、現時点では一般的ではない造語と言える。これまでありそうでなかった絶妙な言葉かもしれない。少なくとも若い女の子あたりが「魔法的〜」なんて言ってるのは聞いたことがない。
 
 
それでは、小沢健二は「魔法」という言葉をどのように使ってきたのだろうか。
ふと気になったので、「魔法」という単語が、そのまま歌詞に使われている楽曲をリストアップしてみた。

結果から言うと、インストを含めた45曲中、9曲に使われていることがわかった。
僕は思ったよりも少ない、と感じたけれど、あなたはいかがだろうか。
インスト抜くとめんどくさいので、ここではそういう結果、ってことでひとつ。
 

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できるだけリリース順に調査。アルバム所収の曲は曲順に。リフレインを除いて、使われているフレーズも引用してみる。
 
 
「地上の夜」
見る夢は 俺を虜にする魔法
 
「強い気持ち 強い愛」
溢れる光 公園通り 新しい神様たちが パーッと華やぐ 魔法をかける
 
「さよならなんて云えないよ」
美しさ oh baby ポケットの中で魔法をかけて
 
「大人になれば」
誰かの歌を聴くと 夏の日は魔法
 
「ホテルと嵐」
届かない魔法 壁に焦げ付いた黒い花 誰もいないベランダ
 手が届かない魔法 壁に焦げ付いた黒い花 誰もいないベランダ
 
「恋しくて」
寒い夏の朝に ひとりきりの部屋で 飲み込まれていく魔法のようなもの 感じてる
 
そんなことのすべて 僕らが見た光 飲み込まれてゆく魔法のようなもの 待っている
再追記
「ある光」も抜けてましたぁ!すみません。ネットの歌詞サービス間違ってるぞ!(言い訳)

「ある光(Full length)」
この線路を降りたら 全ての時間が 魔法みたいに見えるか 今そんなことばかり考えてる  慰めてしまわずに

 
「1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)」

1つの魔法を あなたはくれるよ それはhandsomeな瞳に隠した 心が灯した魔法
嵐が去った渚のように 書き直した歌詞のように 心が灯した魔法
1つの魔法を あなたに返すよ 値段のない贈り物 それは未来への魔法

追記

今夜はブギーバック/あの大きな心」がぬけている、とのご指摘をいただきましたので追加します。

今夜はブギーバック/あの大きな心」
欲望と愛の行方を 見てる 魔法のように


*最初は7曲と書きましたが、ご指摘を受けて2曲を追加。よって合計9曲となりました。ご指摘ありがとうございます!


以上、「魔法」が使われた楽曲とそのフレーズである。アレがない、あの未発表曲は、なんて言われると困るが、指摘あればお知らせください。なお、未発表曲「甘夏組曲」にはバッチリ「魔法」が使われている。これが魔法か、なんて。
あと、魔法使い、は意図的に外している。「麝香」にありましたね。


こうして見ると、「強い気持ち 強い愛」と「さよならなんて云えないよ」の使われ方が印象的だったのだなあ、と思う。いわば陽の魔法。それからは、いなたくパーソナルな深みに導くように、意味がトーンダウンしていく。そんな印象を受ける。


新たなツアーでは、新曲をたくさん演奏するという。魔力が込められた、魔法的なライブであることは想像に難くない。


なぜなら。
好きなアーティストの音楽を目の当たりにして、メロディとリズムに身体を委ね、それまでの自分から、確実に変わっていくような体験は、まさに魔法のようなもの、まさに魔法的な出来事だからだ。


そして、それって僕らがいつも求めているものだったりする。


What is the magic word? 
そんなスラングがあるなんて話を聞く。
お母さんが子どもに問いかける。誰かにお願いをするには、魔法の言葉が必要なのよ。魔法の言葉ってなあに?


Please、と子どもが魔法の言葉を口にする。
おずおずと、自分が口にした言葉が、相手を変えてくれることを信じて。


Please、と僕らが口にする。
魔法のような時間をお願い、と。


きっと応えてくれるだろう。
今からとても、楽しみだ。