rainfiction

アマチュア映画監督 雨傘裕介の世に出ない日々です。

ふたつとない作家性−「宝石の国」−

市川春子宝石の国」第一巻を読了。


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個人的に、手塚治虫クラスの書き手だと勝手に認識している市川春子の最新作にして、はじめての連載作品。
デビュー作品集『虫と歌』が第14回手塚治虫文化賞新生賞を受賞したからってわけでもないが。


話運び、ファンタジーとSFの境目にひっそりとはまるようなジャンルレスなモチーフ、そしてシンプルだが美しい絵。


どれをとっても独特で、「こんな漫画は読んだことがない」と思わせられる作品たちである。


これまでの作品では、必ず人ならざるもの、あるいは人と何かの性質が合わさった生物が必ず登場する。その「人ならざる者」の性質がドラマを生み、不思議な感情を沸き起こす。
偏った愛と嗜好、あるいはフェティッシュ。作者本人がそれを何気なく作品に落とし込み、美しく作品を満たしていく。


そんな作品を書く作家が、ついに連載を開始。読まない訳がない。ついでに単行本も買わない訳がない。


以下あらすじ。Amazonより。



今から遠い未来、宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。

貼ってみて気付いたんだが、未来の話なのね。



できれば改めて検証したいけれど、構図と台詞回しが、手塚治虫のそれを彷彿とさせてくれる。
情報・絵の具し方が似ていて、読むテンポが同じだと気付くのだ。
それは、一つのコマで台詞のやり取りが多重になされたりする点や、アクションの省略の仕方などによる。


高野文子の影響が大きいとも思っている。


ちょっと時間あるときに、しっかり感想を書いてみよう。整理されてないもんなあ。


まあとにかく、恐るべき才能、健在です。
文化庁あたりはそろそろ保護を検討するように。