rainfiction

アマチュア映画監督 雨傘裕介の世に出ない日々です。

女をめぐる冒険−『チェイサー』

DVDで『チェイサー』を鑑賞。


ナ・ホンジン監督の新作『哀しき獣』が絶賛されており、何とも観たい映画なので、予習のつもりで観た。


比較対照として『殺人の追憶』や『息もできない』といった韓国映画の名作が挙げられるだろう作品だが、前者は社会を志向し、後者は個人を志向しているのに対し、『チェイサー』はその中間といった感じ。

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天使たちのシーン〜小沢健二について

mixiからの転載です。
超長文。自分のために転記。

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月一回の日記。
書かないんじゃあなくて、書けない。
僕に言えるのはそれだけだ。


初夏ですね!
今回は時候の挨拶はこれくらいにして、ものすごく大事なことを語ることにしよう。ええ、とっても大事なことだ。あなたにとっても、僕にとっても。


そうです。小沢健二です。


というわけで、小沢健二に興味がない人は今回はスルーしてほしい。小沢健二が嫌いな人は読まなくていい。僕のことが嫌いな人はそっとブラウザを閉じて、僕の目前にやってきて、思うさま、存分に罵ってほしい。興奮します。

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「兄兄兄妹」を見た


「兄兄兄妹」/監督:村松正浩 @ドロップシネマパーティ


かつて、自主映画が小さな変換を遂げた時があった。


自主映画の黄金時代を築いた8ミリフィルムがDVへ変わろうとする過渡期。
ぴあフィルムフェスティバルはフィルムしか評価されない。だって「フィルム」フェスティバルだから』
そんな都市伝説っぽい決まり事が囁かれていた最後の時代。

手元に資料がないからアレだが、僕の記憶が正しければ、
97年にグランプリをとった「シンク」という作品は、エポックメイキングな作品であった。
それはDVによって作成された作品であったから。
そしてDVフォーマットの作品が、はじめてグランプリをとったから、である。

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「中央線ドロップス」元町夏央

本腰入れて書評でも。


どうして武蔵野の夕方の車窓はこんなにも心をくすぐられるのか。
夕日を背景に、シルエットになったよみうりランドの観覧車。
背の低い町並みが一生懸命夕方の光を反射している。
頼りない列車は進んでいく。あの人もこの人も僕も載せて進む。


そんな外出を経て仕事を終え、本屋に入ると平積みになったマンガが
ふと目に入る。
「中央線ドロップス」元町夏央


これまたあざといタイトルつけるな・・・と思いながらも手に取ってみる。
少し悩む。買う。
決めては表紙のJKが魅力的だったから・・・というわけではないが、
好感の持てる絵柄だ。そして何より「中央線」だからだ。

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午後、夢、悪しからず

もし宝くじが当たったら。


そんな妄想をしながら日中の街を弁当を求めて歩く。
親をモンゴル旅行に連れて行こう。


財布の中には金がない。弁当の出費にも気を使う。
困りものを片付けて、あの人を食事に誘おう。


昼過ぎ風強く。胸元に春風強風が滑り込む。
オーディオを買って好きなだけCDを買ってみよう。


昨日買ったダイヤモンドメモを懐のポケットに忍ばせて歩く。
兄夫婦に立派なベビーカーをプレゼントしよう。


ビルの側でがん検診。大きなビルが正午の趣。
あの人とゆっくりハワイに行こう。


僕の病気はいつか来るのかと怯えてみる。
仕事は辞めずに、しっかりと自信を持って生きよう。


弁当屋はほとんど売り切れいて、仕方なく見た目の悪いスパゲティを買う。
家を買うか引っ越すかして、二人で暮らせるようにしよう。


飲み物はがまん。
自転車を買ってもいいし、免許をとってもいい。


昼間の一瞬の夢。ビルから春風。春の霞がうすら浮かんで宙に浮く。
ちゃんと気持ちを伝えよう。


宙に浮いてる歩みの身。笑えるほどに笑えない。
心に浮かんだ誠実を大事にしよう。


もし宝くじがあたったら。
午睡のごとくに歩む身の上。


いやいや決して、あしからず。