rainfiction

アマチュア映画監督 雨傘裕介の世に出ない日々です。

愛ゆえに傑作―『宇宙人ポール』―

今年、初めて劇場で観た映画は『宇宙人ポール』。

前評判が高すぎたため、自然と期待値も高まり、スピルバーグ映画へのオマージュ満載、という意味では、スピルバーグ御大ご自身の『インディ・ジョーンズクリスタル・スカルの王国』、オマージュどころか御大が製作総指揮を務めた『SUPER8』と同じくらいの期待値をマークしたのであった。


それぞれ表層的モチーフが共通しており、スピ公魂は今も昔も『未知との遭遇』というモチーフにおいて受け継がれているのを実感しつつ、今回は純度100%のコメディと聞いて、笑いに行ったようなもんです。


結論。
俺が映画に求めているものはコレである。
つまり俺が観たい映画は『宇宙人ポール』である。

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女をめぐる冒険−『チェイサー』

DVDで『チェイサー』を鑑賞。


ナ・ホンジン監督の新作『哀しき獣』が絶賛されており、何とも観たい映画なので、予習のつもりで観た。


比較対照として『殺人の追憶』や『息もできない』といった韓国映画の名作が挙げられるだろう作品だが、前者は社会を志向し、後者は個人を志向しているのに対し、『チェイサー』はその中間といった感じ。

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天使たちのシーン〜小沢健二について

mixiからの転載です。
超長文。自分のために転記。

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月一回の日記。
書かないんじゃあなくて、書けない。
僕に言えるのはそれだけだ。


初夏ですね!
今回は時候の挨拶はこれくらいにして、ものすごく大事なことを語ることにしよう。ええ、とっても大事なことだ。あなたにとっても、僕にとっても。


そうです。小沢健二です。


というわけで、小沢健二に興味がない人は今回はスルーしてほしい。小沢健二が嫌いな人は読まなくていい。僕のことが嫌いな人はそっとブラウザを閉じて、僕の目前にやってきて、思うさま、存分に罵ってほしい。興奮します。

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「兄兄兄妹」を見た


「兄兄兄妹」/監督:村松正浩 @ドロップシネマパーティ


かつて、自主映画が小さな変換を遂げた時があった。


自主映画の黄金時代を築いた8ミリフィルムがDVへ変わろうとする過渡期。
ぴあフィルムフェスティバルはフィルムしか評価されない。だって「フィルム」フェスティバルだから』
そんな都市伝説っぽい決まり事が囁かれていた最後の時代。

手元に資料がないからアレだが、僕の記憶が正しければ、
97年にグランプリをとった「シンク」という作品は、エポックメイキングな作品であった。
それはDVによって作成された作品であったから。
そしてDVフォーマットの作品が、はじめてグランプリをとったから、である。

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「中央線ドロップス」元町夏央

本腰入れて書評でも。


どうして武蔵野の夕方の車窓はこんなにも心をくすぐられるのか。
夕日を背景に、シルエットになったよみうりランドの観覧車。
背の低い町並みが一生懸命夕方の光を反射している。
頼りない列車は進んでいく。あの人もこの人も僕も載せて進む。


そんな外出を経て仕事を終え、本屋に入ると平積みになったマンガが
ふと目に入る。
「中央線ドロップス」元町夏央


これまたあざといタイトルつけるな・・・と思いながらも手に取ってみる。
少し悩む。買う。
決めては表紙のJKが魅力的だったから・・・というわけではないが、
好感の持てる絵柄だ。そして何より「中央線」だからだ。

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